case_114 左股関節痛・膝痛

バレーボールをしているときに、だんだんと左股関節と左膝が痛くなってきました

整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもあるがどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回はバレーボールをしていて、だんだんと左股関節と左膝が痛くなったという8歳女児のお話です。

バレーボールは週3日、定期的にしています。5日ほど前、特に変わったことはありませんでしたが、バレーボール中にだんだんと左脚のつけねと左膝が痛くなりました。

翌日には持久走で走ったときも痛みがあったようで、以後、歩くときも走るときも左股関節と左膝に痛みが続いています。

今回のような股関節と膝の痛みを感じたのは初めてとの事ですが、よく聞いてみると、以前から、時々左足首が痛くなることもあったようです。足首の痛みは自然に良くなっていたので気にしていませんでした。

同じ左側…関係はあるのでしょうか。

腰椎の前弯はやや強いですが、特に異常というほどではありません。

姿勢は少し悪いため、まずは姿勢を矯正して保持してみますが特に症状の変化はないようです。

痛いのは左股関節と左膝ですが、マッケンジー法では……そう、腰椎から診察します。

腰椎の可動域検査では立ったままでは症状はありませんが、右に腰をずらす動きで左股関節の痛みが誘発されました。

(ROM LSG 軽度制限 左股関節痛+)

まずはたったままでしっかりと腰を伸展してみます。
歩いてもらうと、膝の痛みはなくなりました。左股関節はまだ痛みますが先程より少し良いようです。

(EIS 反復 10回 abolish 歩行時左膝痛、左股関節痛 D-B)

次にうつ伏せになって腰椎の伸展を10回。
さらに歩くときの痛みが軽くなりました。

(EIL w/sag 10回 歩行時左股関節痛 D-B)

座り方の指導とやるべきエクササイズなどをご説明し、初回評価を終了しました。

それから2日後。

昨日の日中は全く症状は出なかったのですが、夕方バレーボールをしたあとに少し左股関節が痛かったようです。
膝の痛みは初回評価のときに消えてしまった後には一度も感じていません。

エクササイズの回数、頻度はそれなりにできているようなので、エクササイズのやり方をチェックしてみます。

うつ伏せでやるエクササイズで反らすときに、さっと戻っているのでしっかりとためる感じで一呼吸おくようにやり方を変えてみます。

その2日後、初診から4日目になります。

昨日バレーボールの後にまた左股関節が痛くなりましたが、今朝からは何ともなく過ごしていました。ところが、体育で跳び箱を飛んで着地した時に左股関節がまた痛くなったそうです。
相変わらず膝の症状は全くありません。

現在、しゃがみ込みで5点(考えうる最大の痛みが10点満点として)となかなかの痛みです。

これまで有効だと思われたエクササイズを確認します。

まずはうつ伏せでのエクササイズ。しっかりとできています。
10回終わって、同じようにしゃがみ込んでもらうと、わずかに軽減している程度です。

(EIL w/sag ER意識して 10回 4点 NE?)

立ったままやるエクササイズの方もやってみます。
こちらもさっきよりはよいという程度です。

(EIS 5回 3点 B?)

このまま腰椎の伸展について手を貸して負荷を上げてみるのもよいのですが、今回跳び箱の着地で深くしゃがみ込んだ後に症状が再発しています。
着地の時、腰が曲がりますが、そう、股関節に体重が載って深く曲がっている状態でもあります。

ここで腰椎から離れて股関節の評価に移ることにします。

右足を前、左足を後ろに縦に脚を開いた状態で、腰を落としていき、左股関節の前のほうが伸ばされる感じがあるまでしっかりと伸ばすエクササイズを10回。

佛坂
佛坂

さっきみたいに、しゃがんでみようか

C子ちゃん
C子ちゃん

だいぶ痛くないです!…1点くらい

(左股関節 荷重伸展反復 10回 1点 B)

エクササイズを変更することをご説明し、その3日後。初診から1週間になります。

前回来院した翌日はまだバレーボールの練習後に少し痛かったようですが、昨日からは全く痛くない状態が続いています。
バレーボールの前後もちゃんとエクササイズをやっているようです。

それから4日後、初診から11日目にも念のためフォローアップしましたが、もう症状はありません。

今回、左膝の症状については腰椎のエクササイズで速やかに消えてしまったのですが、左股関節の痛みについては腰椎のエクササイズをしっかり頑張った割には改善度が少ない印象でした。
もちろん、腰椎の伸展をするときに股関節もある程度伸展されますから、最初から股関節の伸展をしてもよかったのではと思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、左膝の症状については左股関節の伸展で良くなったかどうか…なんとも言えません。
たまたまかもしれませんが、以前、左足首も時々痛くなっていたということも気になります。

マッケンジー法では四肢の痛みは必ず脊椎から評価します。それは、たとえ手足の症状であってもまずは脊椎に関連した病態を排除し、その後に残った症状についてそれぞれの部位について評価を行うことで、もれの少ない評価を行う事ができるからなのです。