case_73 左肩痛

単純X線写真で石灰沈着のある左肩痛、石灰沈着性腱板炎のようにも見えます

整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもあるがどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回ご紹介するのは、1年以上続いている左肩前方の痛みを主訴に来院された50代女性のお話です。

飲食店で接客や洗い場のお仕事をしてます。5年ほど前に左の五十肩、続いて右の五十肩になったそうですが、その後、自然に軽快していました。

実は今回病院に行こうと思った理由はこの肩の痛みではなく、2週ほど前から右示指の背側にできものができて、少し大きくなってきて当たるときに痛く感じるようになったからだったんです。

この出来物については経過と診察初見、エコーで確認し、ガングリオンと診断しました。これについては圧迫で潰れることもあれば、何かにぶつけたときに自然になくなることもあることをご説明しました。

さて、このお話が終わったところで、

A子さん
A子さん

実はもう一つ…いいです?

佛坂
佛坂

もちろん、なんでしょう?

あまり思い当たることもなく、1年ほど前から左上腕の肩あたりに痛みがあるようです。趣味でしているフラダンスのとき、波を表現する時に(肩を屈曲内転内旋するような動きで)痛みがあるのですが、日常生活の動作では症状がないため放置状態だったようです。症状も少しずつよくなっているようですが、やはり同じ動きで痛むため相談されました。

念のため左肩の単純X線写真を確認します。すると、棘上筋腱のあたりに石灰化が見られました。いわゆる石灰沈着性腱板炎(棘上筋腱炎)のように見えます。石灰化はやや古い印象ですが、一応参考程度に心に留めておくことにします。

姿勢がややわるいので、まずは姿勢を矯正してしばらく保持してから、先程の痛む動きをしていただくとちょっとだけいいかもという感じです。

この左肩を屈曲内転内旋するときの痛み5点(考えうる最大の痛みが10点満点として)、外転内旋での5点をベースラインに評価を開始します。もちろん頚椎からですね!

可動域検査では、頚椎を伸展(上を向く)してもめまいもありません。
まずはこんな感じで首を動かしますと頚椎の伸展動作を実演して見せて同じように動かしていただきます。
1回目問題ない事を確認します。

頚椎の単純X線写真で病的な不安定性はなく、伺った情報からもレッドフラグのないお元気な方ですので、比較的スムーズに負荷を上げてトータル5回の伸展をしていただきます。

佛坂
佛坂

さっきの動きをもう一回やってみましょうか

A子さん
A子さん

痛くないです…、いや少し痛いかな

何度か左肩を外転内旋、屈曲内転内旋しながら確認してもらいますが、少し良いようです。

(RET+EXT w/op self 5回 B 屈曲内転内旋、外転の疼痛 abolish、外転内旋 3点)

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(このお話は続きも含め、イラストや解説付き電子書籍でご覧いただけます)

このお話は電子書籍の自著「マッケンジー法・症例ノート・#13」でご紹介しております。
ご意見の多かった、「動き方がピンとこない」とか「専門用語がわかりにくい」などといったことに配慮し、動き方をわかりやすくイラストにして配置し、専門用語についても、可能な限りそのページ内の欄外に配置してページをあちこち探さなくても読み進められるようしています。
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