坐骨神経痛は治ったのですが違和感がとれません
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は坐骨神経痛のあとに違和感が残ったという70代女性のお話です。
70代と言っても大変お元気な方で、つい5年ほど前まで近くの大きなスーパーで陳列のお仕事など12年ほどしていました。
一ヶ月ほど前に歩いていて急に右脚が痛くなりました。近くの整形外科にかかったところ、坐骨神経痛と言われ、ピリピリする電気治療をうけて痛みは落ち着いたのですが、その後も右下肢のおぼつかない感じが残っていて、歩いたあとに立ち止まると何かに捕まりたくなる感じがあります。
診察室で確認できる症状としては、この右下肢の違和感程度で痛みはありません。右片足立ちが少しだけしづらいかなという感じはあります。
まずは姿勢を整えてみます。姿勢を矯正して保持すること1分。
今、違和感はどうですか?
さっきより余計に感じる気がします
楽にしてもらいます。
違和感はどうなります?
もとと同じくらいですかね…
(姿勢矯正保持 I-NW)
今度は立っていただき、腰椎の可動域を確認します。
いずれも軽度の制限がある程度です。
まずは立ったままでしっかりと腰を伸展してみます。
特に問題ないようですので、続けて5回。
いま違和感どうですか?
今は…無いです
(EIS 5回 abolish 右下肢の違和感 B)
続けて問題ないのか確認してみます。
さらに10回。違和感はありません。
しかし、腰を手に当てるやり方だと肩が少し痛いようです。
そこで、椅子の背もたれに腰をもたせてやるやり方をご説明してやってもらいます。
こっちのほうがやりやすいですね
右片足立ちはまだ少ししづらい感じがあります。
この腰椎伸展をホームワークにしました。
それから4日後。
初診の当日はすごく良かったのですが、翌日は少し右下腿外側あたりが張ったような感じがあったようです。
エクササイズのやり方を確認してみます。
すると、しっかり伸展したときに多少右膝の外側に違和感がありますが、戻ったら消えるようです。
それから何度か体操のやり方の調整など行い、初診から18日目。
もう足はなんともなくなったのですが、まだ歩き方が少しおかしいような気がするようです。痛みはありません。
エクササイズはとても頑張っておられるようで、一日20セットくらいしていると。
その成果があってか、こたつからもさっと立てるようになったと言われます。
そして、初診から1ヶ月ほどのころ。
歩き方が少しひきずってるような気がするようですが、日常生活ではほとんど問題にならないレベルのようです。
こんなに早く良くなって…本当に良かったです!先生のお名前は忘れません!
名前は忘れてもいいのでエクササイズは忘れないでくださいね!
エクササイズを続けることの大切さをご説明しました。
痛みが治まると放置しがちな違和感のような軽い症状。
よく診ると、片足立ちが微妙にしづらいなど、本人が気づかないような症状が残っていることも少なくありません。
今回のお話から坐骨神経痛が良くなっているように思えても、実はまだ十分には治っていないこともあり、マッケンジー法による評価・治療で改善するものも含まれていることをお伝えできれば幸いです。