一年ほど前から、時々、右足関節が痛くなることがありました
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は、走ると右足関節の外側が痛くなるという12歳男児のお話です。
ラグビー、スイミング、サッカーなどしているアクティブなお子さんです。一年ほど前から、時々右足関節の外側あたりが痛くなることがあったのですが、すぐに良くなっていたので放置していました。
昨日、ラグビーで坂道ダッシュの練習のあと、パス練習していて右膝あたりが痛くなりました。それはすぐに良くなったのですが、その後、右足首の外側が痛くなりました。いつもはすぐに良くなっていたのでまた同じように治るかと思っていたのですが、翌日、少しは良いものの痛みが続いているため来院しました。
どのような動作で痛みがあるのかを確認すると、走るときや歩くときに痛いのですが、階段やケンケンは痛くないようです。
現在はつま先立ちで2点(考えうる最大の痛みが10点満点として)の痛みが再現されます。
姿勢はだらりとした姿勢なので、まずは姿勢を矯正して1分ほど保持してみます。
さっきのつま先立ちの2点の痛み覚えてるよね?
もう一回つま先立ちしてみようか
痛くないです!
(姿勢矯正保持 つま先立ち abolish B)
姿勢の矯正で良い印象ですから、引き続き脊椎の評価を進めます。
腰椎の可動域は伸展が柔らかいわりに、屈曲の可動域が多少悪いようですが、あまり目立った制限はありません。
小走りしてみると、先程の右足首に2点の痛みが再現できます。
続けて立ったままの状態で腰椎をしっかりと10回伸展してからもう一度小走りしてもらいます。
あまりかわりません…
(EIS 10回 NE)
うつ伏せになってさらにしっかりと負荷をかけるやりかたで伸展してみます。
さっきみたいに走ってみようか
今は痛くないです!
(EIL w/sag 10回 abolish B)
方向性がはっきりしましたので、宿題を決めて説明し、初回評価を終了しました。
それから3日後。
すっかりよいようです。
エクササイズを始めた日はまだ少し痛かったのですが、翌朝からは全く痛くない状態が続いています。
姿勢は気をつけているといいます。
たまに猫背になります
そんなときのチェックポイントは何だったっけ?
お尻を突き出して……胸を張って……アゴを引いて……
そのとおり、もう大丈夫だね!
足関節の外果あたりが痛くなるとき足関節周りの解剖を考え、足関節外側の靭帯、腱および腱鞘、足根骨などの障害を考えるかもしれません。しかし今回、これらの構造のあたりにはなんら手あてすることなく、姿勢の矯正と腰椎の伸展で症状は消失してしまいました。
なかなか良くならない足関節の痛みの中には腰椎に関連した症状もありうる事を、今回のお話を通してお伝えできれば幸いです。