case_84 頚部痛

アテトーゼ型脳性麻痺のため指示通りに細かい動きをするのが難しい状態です

整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもあるがどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は頚部痛を主訴に来院されたアテトーゼ型脳性麻痺のある60代後半、男性のお話です。

基礎疾患としてアテトーゼ型の脳性麻痺をお持ちの方で、不随意運動(動かそうと思っていないのに動いてしまう状態)があるため両手の細かい動きや頭の位置のコントロールが難しい状態です。

一週間ほど前、ピザの生地をこねる作業を続けたあとに首の後ろが痛くなりました。

お近くの比較的大きな病院に行ったそうですが、言葉も不自由で難聴もあり、あまりうまくコミュニケーションがとれず、ロキソニンを処方されてそれを飲んでいましたが全く痛みは治まりませんでした。
そこで、別の大きな病院にかかりましたが、そちらではロキソニンが効かないならと、ボルタレン坐薬とトラマール(オピオイド系、つまり麻薬の一種です)を処方され飲んでいましたが、これも全く効かない状態です。
ちなみにトラマールというお薬は、最近良く処方されるようになったお薬で、必要であれば使っても問題ないとは思うのですが、その適応症は非オピオイド鎮痛剤(麻薬ではない通常の鎮痛剤)で治療困難な癌、または慢性疼痛における鎮痛となっていて、依存性もあり、処方には注意が必要なお薬です。

このような強いお薬でも症状が全くかわらず、ある人から勧められ当クリニックを受診されました。

単純X線写真では頚椎側面像で高度の後弯(後ろに凸の曲がった変形)があります。

このような状態の方にマッケンジー法でアプローチできるのでしょうか。

出来ることをやります。

病歴と単純X線写真の所見から伸展方向を選択してみます。

佛坂
佛坂

ちょっとこうやって顎を引いたところをそのまま支えてみてください

不随意運動がありますが、顎を引いて支えることは比較的上手にできます。

佛坂
佛坂

今、痛みはどうですか?

B男さん
B男さん

いまは大丈夫です

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