case_82 両踵痛

一年来の両かかとのジーンとした痛み……全く痛くない時もあります

整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもあるがどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は踵が痛いという11歳男児のお話です。

一年ほど前からこれといった思い当たることもなく疲れたときなどに両踵のジーンとした痛みを覚えるようになりました。走るときや走って疲れたときなどに症状が強いようです。家ではソファでだらりとした姿勢で何時間もゲームをします。

踵に負荷がかかった時に症状が出るようにも見えますが、マッケンジー法では下肢の症状は……そう、腰椎から評価します。

単純X線写真では特に異常は認めませんが、通常よりやや腰仙椎の前弯(前方凸のカーブの具合)が強いようです。

姿勢はだらりとした猫背です。しっかりと姿勢を矯正して保持してみますが、症状の変化はありません。

腰の動きをチェックします。伸展(腰を後ろにそらせる)はとても良くできるわりに、屈曲(前かがみ)は普通よりやや硬い印象です。

現在の症状を確認します。立ってもらい、左右それぞれ片足立ちしてもらうと、現在は右が5点(考えうる最大の痛みが10点満点として)、左が2点と少し右の方が症状が強いようです。

さて、検査する方向を選びますが、医療面接からの情報、単純X線写真、姿勢、可動域検査からはまだはっきりとこれだという方向はありません。腰椎前弯の程度と可動域検査の結果から、まずは屈曲を選択することにしました。

走ったりすることのできるお子さんですから最初から比較的強めの刺激を入れて評価してみます。

座った姿勢で腰をしっかりと曲げること10回。

佛坂
佛坂

ちょっと立ってみようか。まず右踵でさっきみたいに立ってみてくれる?

D男くん
D男くん

さっきより痛くないです

佛坂
佛坂

左はどうだろう?

D男くん
D男くん

だいぶ痛くないです

(FISitting 10回 右 4点、左 1点)

もう10回、さらに限界を目指して、もっともっと……と声をかけながらしっかりと曲げてみます。

佛坂
佛坂

もう一回、右踵で立ってみようか

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