マッケンジー法の適応年齢はあるのでしょうか?
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は90歳近い女性のお話です。
えっ、90歳の方にマッケンジー法?……と思われた方もいらっしゃるかと思います。
マッケンジー法は評価法ですから、高齢の方であっても評価を行います。医療面接を行いつつレッドフラグがないと判断された場合はもちろんマッケンジー法で評価をすすめます。
1〜2週間前からこれといったきっかけも無く右肩周りの痛みを覚えるようになりました。じっとしていると何ともないですが、手を上げる動作で右の首筋から肩、上腕にかけて痛みます。
角度にして70°程度しか肩が挙げられません。
高血圧、高脂血症、狭心症などの自病があるのですが評価するにあたり問題にはならないと判断しました。
単純X線写真では肩関節に変性所見、頚椎にも軽度の変性所見を認めますが、頚椎の前後屈側面像ではメカニカルな評価について問題となるような不安定性や重篤な病理などはありません。
姿勢は高度の円背で、側弯もあります。
難聴のため補聴器をつけておられますが、それでも少し聞きづらいようですので、ゆっくりと耳元でお話が通じているか確認しながら診察します。
さて、通常、マッケンジー法では姿勢が悪い人には姿勢矯正保持をして、その影響をみていきます。
しかしこの方のように脊椎が高度に変形している人に腰を反らせ胸を高く上げるなど出来ませんね。
できるだけ少ないプロセスで診察したほうがよいと判断して、すこしだけ飛ばして問題解決に繋がりそうな評価から切り込みます。
少しこうやって自分の左手で顎を支えていてくださいね
かなり円背が強いので、顎を引く角度に気をつけながらご自分で顎をひいていただき、そこに指を添えて軽く押し続けていただきます。
それじゃ、また手を上げてみましょうか
あらっ、痛くない……
さきほどより少し手があがるようです。
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(このお話は続きも含め、イラストや解説付き電子書籍でご覧いただけます)
このお話は電子書籍の自著「マッケンジー法・症例ノート・#28」でご紹介しております。
ご意見の多かった、「動き方がピンとこない」とか「専門用語がわかりにくい」などといったことに配慮し、動き方をわかりやすくイラストにして配置し、専門用語についても、可能な限りそのページ内の欄外に配置してページをあちこち探さなくても読み進められるようしています。
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