右手のしびれが頚椎の伸展エクササイズで改善した事があります
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は右手関節痛を主訴に来院された40代女性のお話です。
実はこの方、以前、肩こりと右母指〜中指のしびれで当クリニックにかかり、頚椎の伸展エクササイズで治癒してしまったという方です。今回も同じ右手の症状…どんな展開になるのでしょうか。
パソコン作業が一日に10時間ほどのハードワークが続いた2ヶ月ほど前のある日、特にきっかけもなく右手首が痛くなりました。
当然、マウスの使い過ぎかなにかパソコン作業の関係で痛くなったと思ったようです。
以前覚えていただいた頚椎のエクササイズは続けていたようで、肩こりについては完治しています。
今回もレッドフラグはなく、単純X線検査ではストレートネックがある程度です。
頚椎の可動域検査では普段から頚椎伸展のエクササイズをこまめにやっていただけあって、動きには全く問題ありません。
右手にフライパンを持っていただくと右手関節橈側にかなり強い8点（考えうる最大の痛みが10点満点として）の痛みを感じます。
姿勢を整えて保持しても特に変化はありません。
（姿勢保持検査 NE）
通常実施されているエクササイズをチェックします。
大変スムーズにしっかりとエクササイズできています。これで効果がなかったということなので、もう少し負荷を上げてみましたが、症状に変化はみられません。
（頚椎RET＋EXT w/op self、RETで左手を使ったop/self 2秒加えてからEXTエンドレンジを意識して 5回 NE）
ここでは良くも悪くも変化がないので、さらに負荷を上げるという手もあるのですが、今回、しっかりというポイントが加わっていますので、とりあえずこれを宿題にしました。
5日後。
悪くなりました。
やればやるほど悪くなった感じで、今は右手のひらを上に向ける（右前腕回外）だけでも右手関節橈側に響きます。
エクササイズをチェックしますが、完璧に指示通りに負荷をしっかりとかけて出来ています。
このエクササイズの途中、右手関節橈側にビリっと響く感じあるとの訴えがありますが、戻ると元通りで慎重に続けます。
そして数回の頚椎伸展運動の後。
繰り返してみてどうでしたか？
だんだん痛くなりました
以前は良くなった動きでしたが、今回はこの動きで悪くなっているようです。
そこで、頚椎の回旋、側屈の他、屈曲については自分の手で負荷をしっかりとかけていただきながら実施しましたが、頚椎の動きでは変化がありません。
（右回旋 5回 NE、右側屈 5回 NE、屈曲 w/op self 5回 NE）
このまま頚椎の評価をしていくのもよいのですが、頚椎が動いている割に胸椎の動きが悪い印象だったので、胸椎の評価に移ることにしました。
胸椎の伸展を5回続けてみます。少し右手関節が痛むようですが、戻ると元通りです。
（胸椎伸展 5回 P-NW）
胸椎の屈曲を5回やってみました。すると少し手のひらを返す動作が楽になったようです。
（胸椎屈曲 5回 少し軽減した感じあり）
さらに胸椎の屈曲をよりしっかりと5回…。
さぁ、もう一回、手のひらを返すのやってみましょうか
あっ、まだ痛いんですけど、さっきより良くなりました
やっと改善の方向が見えてきました。
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（このお話は続きも含め、イラストや解説付き電子書籍でご覧いただけます）
このお話は電子書籍の自著「マッケンジー法・症例ノート・#14」でご紹介しております。
ご意見の多かった、「動き方がピンとこない」とか「専門用語がわかりにくい」などといったことに配慮し、動き方をわかりやすくイラストにして配置し、専門用語についても、可能な限りそのページ内の欄外に配置してページをあちこち探さなくても読み進められるようしています。
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