上腕骨外側上顆炎(テニス肘)と診断された1年以上続いている右肘外側の痛み
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は右肘の痛みを主訴に受診された60代の女性です。
1年以上前から誘因なく右肘痛を覚えるようになりました。右肘の外側に押さえると痛いところがあって、日常生活のちょっとした動作で痛むことがあるようです。最初の頃は家事にも支障をきたしていたようですが、上腕骨外側上顆炎と他院で診断され、整形外科、整骨院などで治療を受けても良くならなかったのですが、その後、自然に少しずつ良くなっていて、今はさほど生活には困っていない程度です。
右肘の外側を自分で押していただき、痛みの部位を確認すると、上腕骨外側上顆という骨の出っ張りの部分のちょっと遠位(手側)に2点(考えうる最大の痛みが10点満点として)の圧痛を認めます。右手を握ってもらい、その握りこぶしをしっかり保持したまま、抵抗に逆らって右手首を上に向けていただく時に、同じ部位に2点の疼痛が再現されます。
(Thomsen test +)
この慢性の経過、部位、検査結果からも上腕骨外側上顆炎、いわゆるテニス肘のように見えますね。
でも、マッケンジー法では…もちろん頚椎から診察します。
ちなみに単純X線検査で頚椎に軽度の変性を認めますが、右肘は正常で、他の情報からもレッドフラグはありません。
まずは姿勢を確認します。頭の前に出たやや悪い姿勢です。
(Protruded head +)
そこで、姿勢を矯正して保持すること10秒ほど、
ちょっと首の後ろあたりがきついですね…
通常はあまり動かさない所を動かしているのできつい感じがするかもしれませんが、ちょっと頑張ってみてくださいね!
そう励ましながら保持すること1分。
さっきの痛かったところをもう一回押してみましょうか
あれっ、痛くない!
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(このお話は続きも含め、イラストや解説付き電子書籍でご覧いただけます)
このお話は電子書籍の自著「マッケンジー法・症例ノート・#5」でご紹介しております。
ご意見の多かった、「動き方がピンとこない」とか「専門用語がわかりにくい」などといったことに配慮し、動き方をわかりやすくイラストにして配置し、専門用語についても、可能な限りそのページ内の欄外に配置してページをあちこち探さなくても読み進められるようしています。
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