エクササイズで良くなっていたのに、また痛くなってきました
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は右手関節痛の再発で来院された、60代女性のお話です。
実はこの方、case_60でご紹介した方です。昨年末に同じ部位の痛みで来院され、頚椎のエクササイズでいったん完治しました。
2〜3ヶ月前くらいからだんだんとまた痛くなってきて、バドミントンのラケットが振れなくなりました。
以前指導した姿勢については普段からよく意識できていて、エクササイズもその頃と変わらず毎日5セットくらい実行しているとのことです。
痛いと言われる右手関節橈側(親指側)〜母指CM関節(母指の付け根あたり)に軽度の腫脹があります。
単純X線写真では右母指CM関節(付け根の関節)に変形があり、整形外科では母指CM関節症と呼ばれる状態です。
さて、診察室に用意してある塩ビのパイプをラケットに見立てて振っていただきます。
ただ振る動作では痛みは出ませんが、手関節を掌屈しながら橈屈するときに8点(考えうる最大の痛みが10点満点として)の痛みが再現できることを確認しました。
これまでやっていたエクササイズをチェックします。
すると、顎の引き方と首のそらし方がゆるいことがわかります。
実はこれらのエクササイズのポイントがうまく出来ていないことはよくあります。
それでも、どのくらいの効果があるのかはやってみないとわかりませんから、とりあえずご自分のやり方で5回エクササイズを終わってからお尋ねします。
さっきの痛みはどうですか?
何度か確認しながら、
……ああ、少し違うかも……
悪くはないようですが、はっきりといいとも言えません。
そこで負荷をかけるポイントをしっかりと指導しながら5回やっていただきます。
もう一度確認してもらえます?
あらっ、さっきの痛みはなくなったんですが、今度は少し違う場所が痛いです……
どのくらい痛い?
6点くらいかな
この痛みの場所が変わるというのは、マッケンジー法の世界ではとても良く知られているDerangementと呼ばれる分類に入る病態であることを示唆する特徴の一つです。
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(このお話は続きも含め、イラストや解説付き電子書籍でご覧いただけます)
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ご意見の多かった、「動き方がピンとこない」とか「専門用語がわかりにくい」などといったことに配慮し、動き方をわかりやすくイラストにして配置し、専門用語についても、可能な限りそのページ内の欄外に配置してページをあちこち探さなくても読み進められるようしています。
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