膝に注射の治療を受けていたのですが改善しません
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は長年続いているという左膝の痛みで来院した60代女性のお話です。
左膝の痛みはかなり前からあるようで、いつからなのか、はっきりとは覚えていません。この1年半ほど、お近くの整形外科で関節内注射を受けて来ましたが、さして改善した感じがなかったようです。
左膝に水が溜まっているような感じがするとのことですが、触診しても明らかな水腫はありません。
左膝の伸展は制限があり(自動、他動とも伸展-15°)、単純X線検査では骨棘(骨棘:骨のトゲのような変形のこと)と関節の隙間が狭くなっているなど、一般的に整形外科では変形性膝関節症とよばれる状態です。
しかしよくお伺いすると、かならずしも曲げ伸ばしの動作や歩行による痛みではなく、また同じ動作をしても痛いときと痛くない時があるとのこと。
このあたり、これまでマッケンジー法・症例ファイルをご覧頂いている皆さんには少しピンとくる情報かもしれません。
現在は、左膝の痛みは無いのですが、左膝には明らかに右とは異なる違和感があることを確認できました。
まずは姿勢から。姿勢を矯正して保持すること1分。
左膝の違和感はいかがです?
少し軽くなってるような……
この程度の返答では明らかに良くなっているとは言えませんし、有意な改善とは考えません。
しかし、悪くなっていないことはわかります。
可動域検査では膝には先にお話した程度の伸展制限がありますが、腰椎にはさほど運動制限はありません。
比較的お上手に立ったまま腰の伸展ができていますので、立ったままバランスを取りながらしっかりと腰椎の伸展を10回やってみます。
ちょっと歩いてみましょうか
左膝が少し軽くなった感じがします…
初回評価はこの程度にして姿勢、エクササイズについての宿題を決めました。
(EIS 10回/セット、5〜6セット/日)
そして初診から6日目。
症状は改善しているようです。
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(このお話は続きも含め、イラストや解説付き電子書籍でご覧いただけます)
このお話は電子書籍の自著「マッケンジー法・症例ノート・#17」でご紹介しております。
ご意見の多かった、「動き方がピンとこない」とか「専門用語がわかりにくい」などといったことに配慮し、動き方をわかりやすくイラストにして配置し、専門用語についても、可能な限りそのページ内の欄外に配置してページをあちこち探さなくても読み進められるようしています。
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