脚を開いたときに右股関節の痛みがあります
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は右股関節痛を主訴に来院された40代男性のお話です。
お仕事ではPC作業を一日10時間以上、自宅では床にあぐらで過ごす事が多く、ゲームも好きで一日3時間ほどするそうです。
実は2ヶ月ほど前に左母指の痛みで来院されました。評価の結果は頚椎のエクササイズのみで3週間で完治しました。
さて、その卒業と思っていた日のこと。
親指は良くなったんですが、かなり前から右脚を開く時に刺すような痛みがあるんです…
と別の症状を打ち明けられました。その動作をしなければなんともないので後回しだったのでしょうね。
実際に座った状態で右脚を開くと、7点(考えうる最大の痛みが10点満点として)の痛みがあります。
姿勢はまだ悪いため、姿勢を矯正して保持すること1分。
脚を開くときの痛みは変わらないか少し悪いかもというくらいです。
そこで座ったまましっかりと腰を曲げる動作を繰り返してみます。
その後、脚を開いてもらうとわずかばかりいいかもとのこと。
(FISitting 5回 B? 5点)
この屈曲を宿題にして1週間後…。
症状は変わりません。
他、横の動きなども含め変化がありませんでしたので、腰のスクリーニングはここまでとして、股関節の評価に進みます。
生活習慣的な右股関節の動きなどもあわせ伸展を1回してみます。少し良いかもとのことで、あと5回…変わりません。
(右股関節 EXT B? → EXT 5回 NE)
色々と動かしてみますがはっきりしません。結果は出ていませんが宿題を決めます。
痛みがでるけども悪くならない開脚のエクササイズを持ち帰っていただくことにします。
4日後。開脚での右股関節痛は全く変わりません。
あぐらをかく姿勢が多いので、逆に内股にした状態を続けてみます。右股関節の痛みが少し悪くなったようですが、もとに戻ると痛みは残っていません。
もう一回脚を開いてみましょうか
さっきより痛いです…
(立位での右股関節伸展内旋持続 W)
逆にあぐらをかく格好で自分でさらに負荷をかけてもらうと、痛みが出るものの、戻ると元通りという感じで、座って脚を開いて確認してもらうと、悪くなる前くらいには戻っているようです。
今回はじめて症状の変化らしい変化がありました。悪い変化だったのですが、マッケンジー法では良くも悪くも変化があった場合にそれをもとに次に動かす方向などを決めていきますので、今回の宿題はあぐらの姿勢で自分で負荷をかけるエクササイズとしました。
それから6日後。
あぐらで右股関節に負荷をかける事を続けていたところ、右股関節の周りがしびれたような感じが出てきて力が入りにくい感じになったのでやめていたとのこと。
再現できるか確認してみます。
あぐらの状態で負荷をかけつつ持続していたところ、右股関節が痛い感じがしてきて、座位に戻って脚を開いてもらうとより痛みが強くなっています。
(右股関節屈曲外転外旋持続 w/op self W)
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(このお話は続きも含め、イラストや解説付き電子書籍でご覧いただけます)
このお話は電子書籍の自著「マッケンジー法・症例ノート・#27」でご紹介しております。
ご意見の多かった、「動き方がピンとこない」とか「専門用語がわかりにくい」などといったことに配慮し、動き方をわかりやすくイラストにして配置し、専門用語についても、可能な限りそのページ内の欄外に配置してページをあちこち探さなくても読み進められるようしています。
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