両大腿痛、腰痛で来院されたのですが、現在はほとんど症状がありません
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は両大腿痛、腰痛を主訴に来院された60代女性のお話です。といっても、来院時は症状がほとんどありません。
マッケンジー法ではどのようにアプローチしていくのでしょうか。
花栽培農家のお仕事で、しゃがみ込み、片膝の作業が多いそうです。
10年ほど前から腰痛がありました。加えて数ヶ月前から時々、両大腿外側の痛みを自覚するようになりました。
歩く時に足が前に出しにくい感じがあります。右側を下にしてゴロリとしていると左大腿外側の痛みが強くなりますが、自転車に乗っているときや、座っている時は全く症状がありません。
お話している間も特に症状はないようです。
このような、来院時にはほとんど症状がない場合がちょっと難しいことは以前お話したことがありますので、覚えておられるかも知れませんね。マッケンジー法ではメカニカルな評価をする前と後の症状比較を行いますので、症状のない方は評価が難しいのです。このような場合は、ちょっと不思議に思われる人もいらっしゃるかとは思いますが、あれこれと動かしてみてどうにか症状が出ないかと探すこともあります。どうしたら悪くなるのかを見つけるのです。
腰椎の単純X線検査では変性側弯を認めます。
レントゲン写真の所見は参考にはしますが、どう変形しているかということより、今からメカニカルな評価をできるかという視点で見ています。
動かして問題になりそうな不安定性や重篤な病理が無いことを確認できました。他の情報からもレッドフラグなしです。
座位では症状が無いのですが、一応順番に確認していきます。
座位で姿勢を矯正保持していると、左足が浮いたような感じを訴えられましたが、矯正をやめて普通に座っていただくとその感覚は速やかに消失しました。
(姿勢矯正保持検査 NEまたはproduce 左足の浮いたような感じ NW)
お伺いした情報と姿勢保持検査の結果から、屈曲方向を先に確認することにします。
座位で深い屈曲を一度行い、問題がないことを確認し、さらに反復してみます。特に変化はありません。
(FISitting NE、反復FISitting NE)
続いて伸展方向に反復して動かしてみます。
歩いてみましょうか
なんかさっきより左足が上げにくい感じがします……
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(このお話は続きも含め、イラストや解説付き電子書籍でご覧いただけます)
このお話は電子書籍の自著「マッケンジー法・症例ノート・#11」でご紹介しております。
ご意見の多かった、「動き方がピンとこない」とか「専門用語がわかりにくい」などといったことに配慮し、動き方をわかりやすくイラストにして配置し、専門用語についても、可能な限りそのページ内の欄外に配置してページをあちこち探さなくても読み進められるようしています。
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