case_320 右下腿痛

3ヶ月続く痛み、痛みが強いようなら手術言われています

整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもあるがどのようにマッケンジー法(MDT, Mechanical Diagnosis and Therapyとも呼ばれます)による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は右下肢痛のある70代女性のお話です。

基礎疾患として関節リウマチがあり近くの整形外科でリウマチに対する投薬を受けています。3ヶ月ほど前から右下肢が痛くなりました。徐々に増悪しリウマチでかかりつけの整形外科で相談したところ、骨が潰れているから痛みが強いようだったら手術になると言われたのですが、手術は受けたくないのでお断りして現在に至っています。
もともと家庭菜園、ガーデニングなど趣味でしていたが、このところ7-8分も歩くと休みたくなるほどで、階段も2階に上がりにくい状態が続いています。座った状態から立ち上がる時もさっと立てず、支えが欲しいような感じです。
内科疾患でかかっている内科で右足のことを相談してみたところ当院を紹介され受診されました。

腰椎の単純X線写真を確認すると軽度の腰椎すべりが確認できましたが、腰椎の屈曲伸展で問題となるような動きは無いようです。

診察室での症状を確認します。腰の右側に5点(考えうる最大の痛みが10点満点として)、右下腿遠位に5点の痛みがあり、これらをベースラインに評価をすすめます。

まずは姿勢を矯正して保持すること1分。

佛坂
佛坂

いま、痛みはどんな感じです?

A子さん
A子さん

さっきより腰が痛いですね…

佛坂
佛坂

右足は?

A子さん
A子さん

右足は痛く無いです…しびれはまだあります

(姿勢矯正保持 B 腰5→8点 右下腿5→0点 しびれのみ残存)

立っていただき、腰椎の可動域を確認すると屈曲(前屈)で右下腿に痛みが出現し、伸展(腰をそらす)と痛みが消失します。横方向の動きで右下腿に軽い痛みがあります。

(ROM FLX 右下腿痛、EXT abolish、RSG 中等度制限 右下腿痛)

デスク前に立っていただき、よろめいた時に安全な環境を整えて、立ったままの伸展を10回繰り返してみます。

佛坂
佛坂

右足の痛みはどんな感じですか?

A子さん
A子さん

さっきより痛く無いです

佛坂
佛坂

最初は5点でしたが、今は?

A子さん
A子さん

3点くらいかな

(反復EIS 10回 B 右下腿痛 5→3点)

さらに10回追加して伺うと、さっきより少し痛みが軽くなり2点と言われます。

(反復EIS 10回 B 右下腿痛 3→2点)

運動はほとんどしておられない方でしたので、少々疲れたように見えましたので、今度は診察台にうつ伏せになって、肘をついて少し上半身を起こした状態で1分ほどしてからまた起き上がり症状を確認します。

佛坂
佛坂

足の痛みどうでしょう?

A子さん
A子さん

全然痛く無いです!

少し足踏みしていただき、診察前と違いがあるか確認します。

A子さん
A子さん

右足が上げやすくなりました!

(うつ伏せ→puppy position持続 abolish B)

今回は腰椎すべり症のある方で腰痛、右下腿痛が3ヶ月ほど続いている患者さんのお話でした。
リウマチでかかっている整形外科では「骨が潰れているので痛かったら手術」といった説明を受けておられたようですが、マッケンジー法で評価したところ、腰椎の立位での伸展と腹臥位での軽い腰椎伸展持続で症状は軽減してしまいました。
マッケンジー法(MDT, Mechanical Diagnosis and Therapyとも呼ばれます)では画像所見で異常があることにより治療方針を変えるという考え方をしません。今回の症例のように症状が何ヶ月、場合によっては数年という長い期間続いている場合でも、その方に合った動かし方をするだけで症状が軽減することが稀では無いのです。神経痛で痛み止めをもらっているだけで痛みが変わらない…そんな時には一度最寄りの国際マッケンジー協会公認の施設での評価を受けてみてはいかがでしょうか。

国際マッケンジー協会公認の施設
https://jp.mckenzieinstitute.org/patients/find-a-clinician