2週間ほど続く左示指の痛み
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法(MDT, Mechanical Diagnosis and Therapyとも呼ばれます)による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は左示指の痛みで来院した70代女性のお話です。
実はこの女性、1年ほど前に右大腿痛で来院して座位での腰椎の反復伸展エクササイズで症状が改善したことがあります。現在はときに軽い痛みがある時に少しだけエクササイズは続けているようです。
家事以外に特にこれといって趣味もないのですが、最近、ボランティアで知人宅の1歳くらいのお子さんの子守りをすることが多かったようです。
2週間ほど前のこと、たくさんの栗の皮剥きをしていて、指が疲れてきたので左示指を伸ばしたまま皮剥きをつづけていたら、左示指がつったようになり、その後から左示指が痛くなりました。
痛みはいつもあるわけではなくものの握り方で痛かったり痛くなかったり。特に左示指だけをグッと曲げるような曲げ方で物を持つ動作のときに痛みが強いようです。
診察室で確認すると通常のグーパーでは全く症状は再現できず、アルコールジェルのボトルのネックをぐーっと握ると2点(考えうる最大の痛みが10点満点として)の痛みが再現できることが確認できました。
頚椎の可動域を確認すると、軽度から中等度の可動域制限がありますが、左示指には影響はありません。

以前やっていたエクササイズやってみましょうか
以前やっていた座位でのエクササイズをやって見せてもらいます。
指なのに背骨?
そう思われた人もいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん症例によってどこに意識を集中して実施するのかは様々ですが、脊椎を動かすことで他の部位の症状も解決することも少なくありません。
とりあえず以前やっていたエクササイズを見せていただきます。
おおよそのやり方は覚えておられるようなので10回ほど続けた後に先ほどの人差し指でグッとボトルネックを握った時の痛みを確認します。

さっきより少しいいかも…
(SOC 少し体が後ろに倒れがち B? )
少し変化がありそうな感じなので、やり方を少し修正してちょっときついと感じるくらいにしっかりと下位頚椎の伸展負荷をかけてみます。

ボトルを握ってみましょうか

ふふふ、変わりました!

何点?

0点ですね、痛くないです
今回は栗むきをしてから発症した左示指の痛みのお話でしたが、いかがでしたか。
指を動かす作業の後に指が痛くなった…腱鞘炎と思った方も多いのではないでしょうか。
これまでにもご紹介してきましたが、まるで腱鞘炎のように見える腱鞘炎ではない病態を私は「腱鞘炎モドキ」と呼んでいます。この方のように使いすぎのような作業での負荷がかかった後に発症した指を曲げる時の痛みは、一般的な整形外科の診察ではエコー、単純X線などの画像検査所見で異常があってもなくても、おそらく多くの場合は腱鞘炎と診断されて局所の治療がなされるのではないでしょうか。
腱鞘炎と診断されて指の治療を受けているけどなかなか治らない…そんな時、MDTによる評価と治療を受けると意外なエクササイズで治るかもしれません。
国際マッケンジー協会認定セラピスト所属施設
※国際マッケンジー協会日本支部のホームページ内リンクです。
