最近悪くなった腰痛とは別に左中指の付け根の痛みがあるようです
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は腰の痛みで来院した70代女性のお話です。
昨年５月に少し無理して腰が痛くなったときに当院整形外科受診し腰部脊柱管狭窄症と診断されたのですが、症状が軽いので痛くなったらまた来るようにと言われ、その後はさほど悪くなることもなく放置していました。
１ヶ月ほど前にあまりこれといったきっかけもなく徐々に腰痛、臀部痛を意識するようになりました。殿部は右だったり、左だったり、時には両方のようにまりはっきりと決まった場所ではないようです。
診察室で座った状態でお話をうかがっているときの症状は腰の重いような感じくらいのようです。
健診で骨密度検査をうけられていてわずかに骨密度が低下している程度の骨粗鬆症があり、単純Ｘ線写真でも骨粗鬆症を思わせる程度の所見がありますが、変性は年齢相応で体を動かして問題になるほどの所見はありません。
評価を続けようとしたところで、ふと思い出されたことがあるようです。
それと、さっき言うの忘れてたんですが…
なんでしょう？
左手の中指の付け根が最近痛いんです
左中指の付け根のあたりに痛みがあり、押すと明らかな圧痛があります。曲げのばしでの引っ掛かり感はありません。
いわゆる屈筋腱腱鞘炎の好発部位です。
指のことももちろんみますが、まずは腰のことからみてみましょうね
立っていただき、可動域を確認しますがいずれも軽度の制限がある程度です。
ご高齢でもありますし、まずは座ってしっかりとこしを動かすことをやってみます。
背骨をしっかりそらしたりゆるめたりする動きの動かし方をご説明し、トータル10回。
腰の感じはどうですか？
今はなんともないです
立っていただき足踏みなどしていただきましたが、腰が軽くなったことが確認できました。
座っていただき、先程付け足された左中指の付け根の痛みについてお話します。
さきほど背骨の運動しましたが、まずはこの体操をしっかりやるのをおすすめします。というのも、今のような背骨をしっかりと動かす体操をやっているうちに他の症状もいっしょによくなる人が少なくないんですよ
そうなんですね…
さっきの左手の痛かったところをもう一度押してみてもらえます？
何度か探すように押しながら、
あれっ、今は…痛くないです！
（SOC反覆 B abolish 腰痛・左中指基部痛）
座って背骨を動かすエクササイズ後に左中指の痛みも消えたようです。
マッケンジー法による評価・治療をしているセラピスト方々には同様のご経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。もちろん必ず腰痛と腱鞘炎が同時に良くなるわけではないのですが、脊椎周りの症状を治療していると同時に他の四肢の症状が改善することは稀ではないのです。
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マッケンジー法・症例ファイルでご紹介してきた様々な症例の中から32話を選び、医学書のような難しい表現をできるだけ避け、雑誌やマンガ本を読む感覚でお気軽にマッケンジー法の世界を知っていただける本です。マッケンジー法を活用しているセラピストの皆さんにはもちろんのこと、一般の方にも読みやすいように各ページで使用されるマッケンジー法特有の表現などは別枠にイラストと解説を入れるなどして、用語の意味を同じページで確認して読み進められるような内容になっています。
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