スマホを扱うときに首の後ろが痛くなります
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
佐賀県医療センター好生館を退職した後、糸島こどもとおとなのクリニックに就職して間もなくの頃、マッケンジー法についての職員教育の場でボランティアになっていただいた女性のお話です。
小児科の先生、看護師、リハビリスタッフ、事務職員までクリニックの全員集合?というほど大勢のご参加をいただきました。
マッケンジー法ってご存じですか〜?との問いに、おっ、なんと一名、リハビリスタッフから手が上がりました!
どこで聞いたのかたずねると、佐賀の岸川整形外科だそうです。
そう、佐賀だけでなく他県からも患者さんを広く集めているマッケンジー法をとても熱心に実践しておられる整形外科医院です。
私がマッケンジー法に興味を持ったのも岸川先生のご講演を聴く機会があったから。そんなご縁のある医院です。
その職員さんは研修で行ったことがあるそうです。
さて、マッケンジー法の概要をお話しした後、どのように診察をしていくのか皆さんにご説明するために、どなたか何らかの症状のある方がいないかお尋ねしました。
すると、首が痛いという事務職員さんが手を挙げてくださいました。
特にこれといったきっかけも無く、2年ほど前から首の後の痛みがでてきたようです。
この一見、なにも原因が無いかのように言われるときもホントにそうかと疑うのが大切でしたね。
どんな時に痛くなります?
スマホを扱っているときです
このスマホを扱う悪い姿勢、現代人の頚部痛、上肢痛などの原因の一つと言っても良いくらい、とても多いんです。
レッドフラグ(メカニカルな評価が危険と考えられる状態)らしきものが無いことを確認した後、さっそく評価を開始します。
姿勢は……猫背でとても悪いです。
この状態での頚部痛を聞くと、なんと5点(考えうる最大の痛みが10点満点として)。
結構、普段から我慢しているんですね……。
この症状をベースラインとして、まずは姿勢矯正して保持してみます。
……20秒ほどして、先ほどの首の痛みはどうかと聞くと……
ありません…
んっ?ゼロですか?
はい!
と、あっという間に答えが出ました。
姿勢がいかに大切かが再認識される劇的変化の一例。
姿勢の指導をして初回のセッションを終了しました。
その日の午後の外来では看護師さんたちがお互いに姿勢を意識した雑談をしています。
この意識を繰り返すことで、だんだんと自然にそれが出来るようになっていくんです。
姿勢がいい職員さんがニコニコした笑顔で働いているクリニックって、いいと思いませんか?