打ったりしていないのに左足の小さな赤くなった部分の痛みが一週間ほど続いています
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は足背の痛みのある60代女性のお話です。
一週間ほど前から、打ったりした記憶もないのに左足背(第一中足骨基部あたり)が痛くなりました。靴を履いていて、当たると痛いのですが、裸足やスリッパなどでその痛いところが当たらないと歩いても何ともありません。痛いところを確認すると、径1cmほど赤くなっているのがわかります。そこを指で押すと3〜4点の痛み(考えうる最大の痛みが10点満点として)が再現できます。
足背の小さな赤くなっている部分の痛み。
さすがに足の問題と思いますよね。
しかし、マッケンジー法では手足の症状であっても必ず脊椎のスクリーニングをすることはこれまで症例ファイルでご紹介してきたとおりです。
腰椎の可動域は、屈曲(前屈)は手が床につくくらいなのに、伸展(腰をそらす)は少し硬い感じです。
伸展方向の動きから確認してみます。
まずは一回、立ったままで腰を伸ばしてもらいます。
特に問題ないようですので、続けてトータル10回。
もう一度さきほどと同じように座っていただきます。
さっき痛かったところをもう一回押してみましょうか?
何度も何度も押しながら、
あれっ、今は……右と同じ感じで全然痛くないです!
人間の体って不思議ですよね〜
ほんと、魔法みたい……
(EIS 10回 abolish B)
今回は足背の小さな範囲の赤みのある部位が押すと痛いという状態でした。
赤みがあるから炎症?……そう思う人もいらっしゃるでしょう。
皆さんも、なんらかの症状がある時、これまで見てすらいなかった身体の部位をじっくりと観察するようになったご経験はありませんか?
そしてその部分を探るように何度も押してみたり……。
痛いから赤くなったのか、赤くなって痛くなったのか。
何度も触っているうちに赤くなったのか、それとも、元々そこは赤かったのか……。
今回の評価の結果をみて皆さんはどうお考えになるでしょうか。