走っていて左足首を捻ってから外側のくるぶしあたりに痛みがあります
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は左足首を捻った後に足首の外側が痛くなった13歳、女児のお話です。
数日前にテニスで走っていて足首を捻った後、左の足首が痛くなり、近くの整形外科の病院でみてもらい、単純X線写真では骨折などの異常はありませんでした。
シーネ固定をうけましたが、3日ほどして痛みが減ってきたので、あとは自分の痛みの許す範囲で動かして良いとそちらの病院で言われたものの、まだ痛みも残っていて、どうして良いかわからず来院しました。
診察すると、左足関節の外果(外側のくるぶし)の後ろの方に痛みがあるものの、腫脹は軽度で出血の後などに見られる青あざもありません。
歩行時には左足関節の痛みがあるため跛行(左足をかばう歩き方)があります。
左片足立ちができるかみると、痛くはないのですが、うまく力が入らない感じでバランスをとれないようです。
このあたり、本当に足関節の問題なのかなと思わせる所見ですね。
姿勢が悪いため、姿勢を矯正して保持すること1分。
しゃがみ込みしてみようか
少しふらつきながらですが、
…さっきよりは少しいいかな〜
(姿勢矯正保持 NE)
まだ良い反応とまでは言えませんが、もう少ししっかりと腰椎の評価をしてみる価値がありそうです。
立ったままで腰椎をしっかり伸展してみます。
もう一回しゃがんでみて
あぁ、さっきよりしやすいです!
ちょっと歩いてみようか
歩けます!
(EIS 10回 B)
良い反応がでましたので、さらに10回追加して、もう一度歩いてみます。
全然なんともないです!
腰椎の伸展エクササイズを宿題にして初回評価を終了しました。
そしてその翌日。
もうほとんどよいようです。
ときどき足がガクッとなるような感じがあるものの、その場で宿題にした腰を反らすエクササイズをすると良くなるようです。
今日は走っても痛くありませんでした。
それから2日後、初診から3日目になります。
テニスも出来てはいるものの、まだ多少痛いようです。しかし、痛いときにはその場でエクササイズすると痛みは半減することは自覚しています。
エクササイズのやり方をチェックしてみます。
すると、最後までしっかりというところが出来ていないことがわかりました。
この最後のもうひと踏ん張りしっかりとやりきる事の大切さを再度説明します。
そして初診より13日目。
ほぼ良くなったのですが、まだ、かすかに痛むことがあります。しかし、そのときにはしっかりと一杯まで伸ばしきる事を意識して腰を伸展するとその場で良くなるところまで改善しています。
走っていて捻った後に生じた左足関節痛。捻挫のようなケガにより発症した痛みでも局所の腫脹などの所見が痛みの程度とあまり合わないことがあります。
マッケンジー法ではたとえ足関節の捻挫であっても、明らかに靭帯断裂や骨折を伴うような高度の外傷ではないと思われる場合には、やはり腰椎からスクリーニングしていきます。
このシステムに従うことで、今回のような「捻挫モドキ」を除外して、ギプスやシーネ固定などの局所の安静をしないばかりか、スポーツの制限すらせずに早期に症状の改善ができることがあるからなのです。