3年前から続いている右肩痛
整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもある私がどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は右肩痛でおいでになった70代女性のお話です。
3年ほど前にこれといって思い当たるきっかけもなく右肩が痛くなり、一時は肩が挙げられなくなっていました。痛いときには近くのクリニックにかかって治療を受けていたそうです。
右手を挙げて内側に回すような、ちょうど窓拭きのような動作で痛みが走ります。
単純X線写真では頚椎に年齢相応の変性と右肩峰下腔がやや狭いことがわかります。
レントゲン写真で肩関節の所見があっても、マッケンジー法では……そう頚椎から診察ですね!
右肩は前方挙上(手を前から挙げる)で1点(考えうる最大の痛みが10点満点として)、前方挙上90°での水平内転動作(左肩の方に右手をやる動作)で2点、外転(手を横から挙げる動作)で5点の痛みがあることが確認できました。
まずは座った姿勢をチェックします。年齢の割に背筋は伸びていて、一般的にはおそらく良い姿勢の方に入ると思われます。
しかし、頭が少し前に出ています。
この頭の位置についてお話し、姿勢を矯正して保持すること1分…。
もう一度、右肩を動かしてもらいます。
えっ、軽くなりました!
さっきは5点くらいでしたが、今は?
痛くないです!
内側に手を回すのをやってみましょうか
あっ、これはまだ痛いです…
たかが姿勢と思われる方も多いと思いますが、姿勢は非常にパワフルです。
姿勢だけを宿題にしてその翌日。
昨日は頑張って姿勢をよくすることをできるだけやってみたようで、背中が少し痛いと言われます。
頑張りすぎたのかと……このくらい頑張れる人は年令に関係なく有望です。
右肩外転で5点の痛みを確認しました。
それではもう一回姿勢を整えてみましょう
しっかりと姿勢を矯正して保持すること1分…。
手を上げてみましょうか
痛くないです!
姿勢だけでこのまま粘るのも一つの方法なのですが、ご高齢とはいえ頑張れる方なので、頚椎の伸展をやってみます。
まずは一回、しっかりと伸展して気分が悪くなったりしないことを確認して、続けて5回。
さっきと同じように手を上げてみましょう
…あぁ、変わりました!
パッと明るい表情で答えられました。
(RET+EXT w/op self 5回 B)
その翌日。あまり変わりがないようです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(このお話は続きも含め、イラストや解説付き電子書籍でご覧いただけます)
このお話は電子書籍の自著「マッケンジー法・症例ノート・#30」でご紹介しております。
ご意見の多かった、「動き方がピンとこない」とか「専門用語がわかりにくい」などといったことに配慮し、動き方をわかりやすくイラストにして配置し、専門用語についても、可能な限りそのページ内の欄外に配置してページをあちこち探さなくても読み進められるようしています。
ご興味のある方はKindleストアでお買い求めくださいませ。