case_94 両下肢痛

3年ほど前から続いている両脚の痛み、痛みの場所がかわるようです

整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもあるがどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は両脚の痛みで来院された80代男性のお話です。

3年ほど前から、ゴルフの後などに両下肢に痛みを自覚するようになりました。脚の痛みといっても、痛みのある所はそのときによって、あちこち変わる感じだったそうです。
この情報でピンときた方は、ある意味、マッケンジー法通ですね!

ゴルフや家庭菜園などの趣味をお持ちです。ゴルフのパターや草取りで症状が悪化する他、立っていても、歩いていてもやはり症状は悪化するようです。
横になると改善します。

40年ほど前に腰椎椎間板ヘルニアの手術、15年ほど前に腰部脊柱管狭窄症に対する手術を受けています。

そういった治療歴もあり、ご本人は腰部脊柱管狭窄症のために現在の症状が続いているのだと考えています。

単純X線検査の所見では腰椎すべりなど変性の所見を認めます。

(L2/3 Grade I 前方辷り、L3/4/5/S変性、脊柱管狭窄)

評価開始時点での症状を確認し、右大腿を中心に7点(考えうる最大の痛みが10点満点として)の痛みがありましたので、これをベースラインに評価を続けます。

姿勢が悪いため、まずは姿勢を矯正保持してみます。

佛坂
佛坂

脚の痛みはいかがですか?

B男さん
B男さん

右の太ももの痛みが少し軽くなったような感じがします

腰椎の可動域検査では屈曲(前かがみ)は中等度、伸展(腰をそらす)と横方向の動きは重度の制限がみられます。

医療面接のお話と姿勢矯正保持の反応からは、まだはっきりとした方向性がまだ見えませんが、臥位で改善するという情報と座位姿勢保持の少し良いかもしれないという情報からまずはうつ伏せで軽い伸展姿勢保持をしてみます。

佛坂
佛坂

痛みはいかがですか?

B男さん
B男さん

右の太ももが痛いです

また起きていただくともとに戻ります。

(puppy持続 右大腿痛 P-NW)

まだいいのか悪いのかわからない状態ですので、さらに流し台のところで伸展をしてみます。
もちろんうつ伏せの持続伸展で痛みが増えましたので注意深くモニタリングしながら行います。

5回ほど繰り返し、やはり伸展すると痛みが増えますが、戻ると元通りというパターンです。

(EIS流し台 5回 P-NW)

今度は逆に屈曲も確認します。
座っていただき、腰の曲げ方をご説明して5回。
これまた曲げたところで同様に痛みが増えますが、戻ると元通りというパターンです。

(FISitting 5回 P-NW)

まだ方向性は見えていませんが、時間は有限ですからそろそろ宿題を決めます。

このような時、いくつかの選択肢を提示してご本人に選んでいただきます。
一番気持ちよかった流し台を使っての伸展エクササイズを宿題にすることになりました。
エクササイズを実施するにあたり、注意すべき点などご説明し初回評価を終了しました。

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