case_100 右膝痛・右肩痛

夕食後に立ち上がったときに急に右膝が痛くなりました

整形外科専門医であり国際マッケンジー協会認定セラピストでもあるがどのようにマッケンジー法による患者さんの評価・治療を行うのかをご紹介するマッケンジー法・症例ファイル。
今回は右膝痛を主訴に来院された70代女性のお話ですが、評価をしている時に右肩にも痛みがあることがわかりました。
その時、どのようにやるべきことを考えたのかをご紹介します。

初診の前日、夕食後に立ち上がったときに、特にひねったりしていないのに右膝が痛くなりました。以後、階段の登り降りが辛いようです。

お伺いした情報からはレッドフラグなし、単純X線写真でも年齢相応の変性所見のみです。

さて症状は右膝の痛みですが、診察はどこからでしょうか?
これまで症例ファイルをご覧頂いている皆さんはもうおわかりでしょうか……そう、腰からでしたね!

座った姿勢をチェックすると少し悪い姿勢です。姿勢矯正保持をしてみますが、明らかな変化はありません。

(姿勢矯正保持 NE)

右膝の内側(脛骨内顆部)に比較的限局した圧痛の部位があり、その部位を押したときの痛みが5点(考えうる最大の痛みが10点満点として)、歩行時にも同じ場所にやはり5点の痛みがあることを確認しました。

関節の可動域や動きに問題ありません。

比較的お元気な方ですので、まずはその場で立ったまましっかりと腰を反らしてみます。
右膝の痛みは少しだけいいようですから、引き続き、もっとしっかりと反らせるようにと流し台の縁に腰を当ててさらに伸展をしてみます。
やり始めて2回目に、

A子さん
A子さん

右肩が痛いですね……

今回は右膝の痛みで受診されたのですが、右肩についてお伺いしてみたところ、実は右肩の痛みも以前からあるようです。
特定の動きでしか痛まないのでそれについては放置状態だったようです。

佛坂
佛坂

こんなふうに、右手はそのままで、左手だけ流し台の縁を持ってやってみましょうか

右手をつかわずに左手だけで支えていただき続けられそうか確認します。
まずは一回。

A子さん
A子さん

これなら大丈夫です

左手だけで支えながら伸展をしっかりと続けていただきます。

佛坂
佛坂

ちょっと歩いてみましょうか

A子さん
A子さん

いいです

(反復EIS B 3点、その後、反復EIS流し台 右肩痛いので左手だけでささえて B 1-2点)

さて、膝についての方針は決まったのですが、右肩が気になりますね。

こういうとき、肩の評価をしてやるべきエクササイズを加えるかどうか……正直なところ悩ましいです。
というのは、上肢・首周りと下肢・腰回りの症状がどちらもあるとき、そのときに最も気になる症状の評価・治療を進めるうちに、その他の部位についても症状が改善することも稀ではないのです。

この方については、お元気ですので、姿勢の指導に少しだけ負荷を加えたエクササイズをやってみることにします。

肩の痛みですから……そう、首の評価ですね!

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(このお話は続きも含め、イラストや解説付き電子書籍でご覧いただけます)

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ご意見の多かった、「動き方がピンとこない」とか「専門用語がわかりにくい」などといったことに配慮し、動き方をわかりやすくイラストにして配置し、専門用語についても、可能な限りそのページ内の欄外に配置してページをあちこち探さなくても読み進められるようしています。
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